「醸衆会」参加レポート

「醸衆会」参加レポート

2021年8月27日
群馬県醸衆会の研究会が、群馬産業技術センターで行われ、お声がけいただき、参加させていただきました。

「群馬県醸衆会(じょうしゅうかい)」とは、群馬の酒蔵で酒造りを行っている蔵元、蔵人がメンバーになっている集まりです。
群馬県酒造組合とは別の組織で、蔵元だけでなく、杜氏や蔵人など蔵の人達がメンバーになっていることが特徴です。
群馬県で酒造りを行っているメンバーが集まり、群馬産業技術センターの酒造支援担当者と協力して醸造技術、能力の研鑽を図っています。

今回の研究会。
第1部は、日本酒にまつわるニオイについての研究でした。

ニオイの中には、良い匂い、香りもあれば、あまり好ましくない臭いもあります。
日本酒(清酒)を醸造する立場の皆さんで、利き酒の能力を高めようということで利き酒能力テストが行われました。

参加者は検温とアルコール消毒を行い、コロナの感染防止対策を徹底し、利き酒の部屋を2会場に分け、それぞれがプラカップを持って、スポイトを使ってカップに酒を注いでの利き酒でした。

今回、嗅ぎ分けるニオイは全部で19種類。
よく聞く良い香り「カプロン酸エチル(通称:カプ)」や「酢酸イソアミル(通称:イソ)」もありましたし、「日光臭」や「ゴム臭」、「紙臭」などもありました。

「コントロール(無添加)」という何もニオイを添加していない日本酒が1番目にあり、その後、2番から20番までに、それぞれ19種類のニオイが添加されています。
それぞれを利き酒して、何番が、どのニオイかを当てるテストです。

時間は1時間程度。
皆さん、黙々と利き酒をされていました。

私もやってみたのですが、全く分からない…。
落ち着こうと一旦、ラインから離れて、皆さんの利き酒の様子を見て勉強し、何度も仕切り直しをしながら利き酒をしました。
どうしても10種類くらいで集中力が落ちてしまいます。

皆さんは、集中が切れることなく、寡黙に利き酒をして、回答を埋めていました。
本当に、あっという間の1時間でした。

利き酒の後は、会議室に戻り、正解発表。

その後は、皆さんで、「この香りは分かりづらかった」などといった意見交換をしていました。
これから酒造りが始まるにあたって、利き酒能力を高めようとされている様子でした。

先日のYouTubeライブでも、最後の方で、利き酒、ニオイについて話題になりました。

そのニオイが決してあってはならない、ということはなくて、中には、そのニオイが微かにすることが人気の市販の日本酒もあるようでした。

酒造りの立場から一番、大事なことは、そのニオイを狙って造られているのか、たまたま、そのニオイが付いてしまったのか、という点。
各蔵の狙いをもって醸造していく中で、利き酒能力を養うことは、とても大事だということでした。

普通に楽しく飲みたいと思う我々、消費者が、日本酒の味の違いを知るために利き酒の勉強をするのとは違った側面のようです。

第1部終了後は、お昼休憩。
休憩中は、利き酒会場に行くこともアリだったので、私は、正解発表された番号とニオイを確認に行きました。
何名かの方は、やはり、自分の利き酒の結果の復習にと利き酒会場に来ていました。

お昼休憩後の第2部は、全国新酒発表会への出品酒の研究でした。

全国新酒鑑評会で、群馬県の酒蔵が多く金賞受賞、入賞するよう、情報を共有し、意見交換を行っています。

今回は、今年の5月に結果が発表された令和2酒造年度の結果について、群馬産業センターの方で研究していただき、その結果をもとに、皆で、来期に向けて、意見を出し合うというものでした。

まず、資料を見て、各蔵で、ここまで細かいデータを取っているのかとビックリしました。
職人による「経験と勘」では全然なくて、細かに記録を残し蓄積されたデータに基づいた科学的な酒造り。
その上で、毎年変わる米の質や気温、湿度によって条件が毎年変わりますし、自然の微生物の働きもコントロールできることばかりではないと思うので、酒造りって本当にスゴいな、アルコールを生成する醸造酒、日本酒ってスゴいな、と改めて感じました。

そして、一番驚いたのが、蔵を越えた意見交換の内容の濃さでした!

今回、一番時間を割いたのが、令和2酒造年度は入賞を逃した蔵の醸造データについてでした。
私から見ると、「そこまで突っ込むのか!」というところまで参加者が発言して、それに対して、杜氏や蔵元が答えていました。

「群馬県は酒蔵同士の関係性が良くて、切磋琢磨している」と、私もいろいろなところでコメントさせていただいていますが、想像以上でした。

それもこれもすべて、自分の蔵のお酒の技術レベルを上げたい、群馬の地酒のレベルを上げていきたい、という思いからなんですね。

ストレートな意見交換に圧倒されながら、第2部が終了しました。

今年の醸衆会の活動は、これにて終了し、これから各蔵にて新酒造年度の酒造りが始まります!

私も、良い経験をさせていただきました。
ありがとうございました!

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コメント

  1. ひゃん ひゃん

    みなさんこんな風にして研鑽をつまれているのですね〜
    視覚(パッケージ)の次に接するのが、臭覚(ニオイ)になるので、お酒の印象を決めるうえでも大きな要素になりますよね。
    日ごろ山でけもの臭に反応しているので日光臭が気になりました

  2. 群馬SAKETSUGU 群馬SAKETSUGU

    ひゃんさん、コメントありがとうございます!
    確かに、見た目の次は香りですよね。
    「けもの臭」とか「納豆の汗臭いにおい」とか表現もスゴイですね。

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