それは、にわかに始まり、思いがけないフィナーレを迎えた。
コロナ禍で、少しでも楽しい家飲みライフを過ごしていただきたい。
群馬の地酒の魅力を多くの方に知っていただきたい。
そんな想いで2020年4月からスタートした毎週日曜日のYouTubeライブ。
たまのお休みも挟みながら配信回数は60回を超えていた。
毎週毎週、次はどうしようか、どんな内容にしようか、どなたに出演いただこうかといった状態で、2021年7月25日の配信を考えていたら、配信時間が東京オリンピック男子サッカーの試合と全く被っていることが分かった。
ずっとサッカーをしてきた自分としては、サッカー日本代表の試合時間中に配信するわけにはいかない。
サッカー日本代表の試合は、全国民が観て応援すべきだ、というくらい思っていた時期もある。自分も当然、観たい。
更にその2週間後の8月8日は、オリンピック閉会式。
いっそのこと、オリンピック期間は、3週連続でお休みにしようか。
そんなことを考えている時に、島岡酒造(太田市:「群馬泉」「淡緑」)の島岡さんと電話で話す機会があり、そのことを話すと「蔵元のみんなもサッカー好きでみんなで観戦したりしたこともあったから、一緒に観戦するのもアリかもね。もちろん、やるかやらないかは任せます」といったアドバイスをいただいた。
確かに、アリかも!
みんなで観戦。
でも、
そんな配信を観る人がいるのだろうか。
今まで視聴していただいている皆さんにとっては、どうなのか。
何名かの蔵元さんにも相談しながら、番外編として配信することにした。
各蔵元の皆さんに案内して、出演者を募った。
島岡さんに加え、山川酒造(千代田町:「光東」「利根川育ち」)の山川さん、栁澤酒造(前橋市:「桂川」「結人」)の栁澤さん、浅間酒造(長野原町:「秘幻」「浅間山」)の櫻井さんも、参戦していただけることに。
今回の配信は、番外編として、
「群馬の地酒に関するトークも紹介もないこと」
「サッカー観戦の様子を配信するだけであること」
を明記して案内を行った。
7月25日
東京オリンピック男子サッカー予選第2戦vsメキシコ
誰も観る人がいなくても、楽しもう!
そんなことを思っていたけれど、思っていた以上の方に御視聴いただき、一緒に観戦していただいた。チャットにも沢山、書き込みをいただいた。
栁澤さんは、この日のために、サッカー日本代表のユニフォームを購入し、更には配信が盛り上がるような国旗まで用意していただいた。インパクト抜群だった(笑)
試合も素晴らしい勝利で、アーカイブなし、ということもあって、いつもより盛り上がりすぎ、飲み過ぎ、楽しい夜を過ごすことができた。
その後の第3戦vsフランス戦、そして、準々決勝のvsニュージーランド戦は、配信はせず、蔵元の皆さんとLINEやzoomで盛り上がりながら観戦。
翌週となった8月1日の日曜のYouTubeライブは、通常のトークを前半30分ほど行って、後半はオリンピック談義とした。
すると、配信終了間際にチャットで、
「準決勝vsスペインは、ライブ配信しないんですか?」
「前回のサッカー観戦の配信は面白かった」
「粋も甘いも、皆さんと一緒に時を過ごしたい」
との声をいただいた。
その時は「ちょっと難しいかな…」という考えで、
「ちょっと検討させていただきます」と回答。
次の日の月曜日の朝になって、
「前回のオンライン観戦のライブ配信を楽しんでいただいて、再度の希望がある人が一人でもいるなら、やろう!」
と思い直し、蔵元の皆さんにも賛同いただいて、配信を決定。
翌火曜日に迫った配信の様子を、YouTubeや群馬SAKE TSUGUのWebサイト、FacebookやInstagram、Twitter、そして、日本酒カレンダーさんへの投稿で慌てて周知。
すると夜になって、Webサイトの問い合わせフォームから取材依頼が来ていることに気付く。
取材依頼は何と日本テレビの報道番組news zeroの担当の方からだった。
コロナ禍のオリンピックを工夫して楽しんでいる様子を取材したいとのこと。
慌てて、蔵元の皆さんにもお伝えして、取材依頼の担当の方に電話。
えらいことになったと、蔵元の皆さんとどの蔵で対応していただくのか、取材が来たらどうしよう、と大騒ぎ。
コチラの配信の様子や、取材先などについて話をさせていただいた。
伺ってみると、Twitterでハッシュタグ(#)検索から引っ掛かって、Webサイトを見て、問い合わせしたらしい。
この後の番組編成会議で、取材するか検討して、明日の昼までに最終連絡をいただくことに。
結局、番組の尺の中で、そこまで扱えないという結論になったそうで、取材の話は泡と消えた。
それでも「こんなこともあるんだね」という話題として楽しませていただいた。
そして迎えた
8月3日
東京オリンピック男子サッカー予選準決勝vsスペイン
いつもはオフィスで配信を行っているが、今回は自宅から配信することに。
前回の配信時に、インターネット配信で観戦していた山川さんから、テレビとネットでタイムラグがあるとの指摘があり、今回は全員で、インターネット配信で観戦することに決めた。
いつもの配信場所でないこともあってか、音がうまくYouTubeに配信されない事態もあり、チャットにて視聴者の方から配信の確認をさせていただくなどバタバタの配信…。
そして、ネット配信は、回線の速度によってタイムラグがあり、蔵元の皆さんと私の間でも観戦のタイミングが数秒違っていることが判明!
テレビ観戦されている方もいて、ピンチやチャンスの盛り上がりを予言的にチャットをいただくという、変な、面白い展開に。
櫻井さんにも後半から参戦いただき、各選手の特徴やボールポゼッションなど詳しい解説をしていただいた。
延長に入り「PK戦となったら、このタイムラブは耐えられない」と、テレビの前に移動できない山川さん1人を残し、皆、テレビ観戦に切り替える。
自分自身もテレビのある部屋に移動するにあたって、またも音声がYouTubeに配信されない事態に逆戻り…。
ドキドキ、ハラハラの展開ながら、視聴者の皆さんには、一緒に楽しめるどころか、音声が配信されているか確認させていただく始末。
PK戦まで残り10分というところで、日本も大きなチャンスがありながら、スペインの一発に沈む。
あと一歩というところの敗戦と、上手く配信できず、皆さんに迷惑をかけたことで放心状態に。
燃え尽き、空っぽになった翌1日を過ごした後で、少しずつ、にわかに湧き上がるものが。
3位決定戦の前日になって、「ここまで来たら、残り1試合となった男子サッカーを最後まで見届けよう!」という気持ちになり、配信を決意。
蔵元の皆さんも、付き合いますよ、と言っていただいた。
しかし、配信する場所について問題があり、配信場所を求めて、受け入れていただけるところを探した。
そして、たどり着いたのが、聖徳銘醸(甘楽町「鳳凰聖徳」「妙義山」)の西岡さん宅。
突然の無理なお願いにも関わらず、お受けいただいた。
西岡さん宅は、群馬の蔵元の皆さんの中では「聖地」。
蔵元の皆さんが各蔵に入って、自ら酒造りを行っていく中で、西岡さんに教えを請い、皆で西岡さん宅に泊まって、飲みながら語り明かしたことが、群馬の蔵元の関係性の良さ、そして、酒質向上の大きな要因だと、多くの蔵元から話を聞いていた。
まさか、こんなタイミングで、一人で、お世話になってしまうとは。
無理なお願いをしている身でありながら、そんなことを思い、西岡さんの懐の深さに甘えさせていただいた。
よくよく伺うと、御自身はコロナワクチンの2回目を接種したばかりということで、体調が悪化するリスクもありながら、テレビを別の場所から持ってきていただき、配信前日夜には、テストのため家に受け入れていただいて配信場所を検討させていただくなど、多大な御協力をいただいた。
自分の体調が悪くなったらと、同じく聖徳銘醸の蔵人である息子さんも御紹介いただいた。
8月6日
東京オリンピック男子サッカー3位決定戦vsメキシコ
当日朝になって、試合開始時間の変更のニュースが飛び込む。
20時から18時キックオフへと2時間の前倒し。
女子サッカー決勝の試合開始時間変更に伴う変更だそう。
2時間の差は、選手にとって試合に至るまでのコンディショニングに大きな影響を及ぼす。しかも、連戦によって選手はかなり疲労している状態。
そして、応援する我々も、この2時間の前倒しはとても痛かった。
御視聴いただく皆さんも、きっとそうだったと思う。
蔵元の皆さんは、当日、夕方まで群馬産業技術センターで技術講習会が入っていた。
私は、高崎にて別の講習会に参加して、17時30分からはワクチン接種1回目の予約が入っていた。
朝になり、皆さんに変更でも配信可能かの確認連絡。
時間変更にも関わらず、西岡さんには受け入れていただき、あとは時間との勝負に。
時間が前倒しになったことで、冒頭から一緒に御出演いただけそうな蔵元は、島岡さんのみとなった。
私は、講習会を終えてから1分でも早く西岡さん宅に伺って配信準備ができるよう、早めにワクチン接種会場に行って、行列に並んだ。
受付開始まで待ち時間の待機、接種後の安静のための待機時間は気が気でなかった。傍から見たら、ちょっと挙動不審の人だったかもしれない。
18時からの配信が難しそうな気配となり、慌てて、「配信開始が遅れます」との通知をSNSで発信。
待機解除後、急いで西岡さん宅に伺って、試合開始数分後から配信となった。
島岡さんも急いで蔵に戻っていただき、御出演いただいた。
試合結果は、残念ながらではあったが、一矢報いる得点もあり、東京オリンピック男子サッカー最後の試合として、見ごたえのあるゲームだった。
配信中に、島岡さんから「清水くんの性格上、最後まで配信すると思ってたよ。」と言われ、自分としては、揺れ動きながらの決定だったが、見透かされていたようで、思わず笑ってしまった。
島岡さんには、本当に、最後まで、お付き合いいただき、感謝しかない。
そして、最後の最後、無理なお願いにも関わらず、配信場所として受け入れていただいた西岡さん、奥様、息子さんにも感謝したい。
試合会場ならぬ配信会場も、毎試合、点々とする中で、まさか群馬の蔵元の「聖地」で配信させていただくことになるとは。
終了後には、夕飯を食べてなかった自分に対して、カレーを御馳走していただいた。美味しく、忘れられないカレーになった。
本当に、ありがとうございました!
最後に、御視聴いただいた皆さんにも、改めて感謝。
まさか、ここまで熱い時間を皆さんと共にできることになるとは思っていなかった。
ありがとうございました!!
機会がありましたら、また、こんな配信もやりますか(笑)
お疲れさまでした。
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