今後も、「群馬の地酒」が飲み、愛され続けていくためには、若い方へのアプローチが欠かせないと考えています。
ある程度の年齢になってから、日本酒の世界にハマっていくということもあるのかもしれませんが。
ある時、新聞で、新潟大学での「日本酒学」の盛り上がりの記事を読みました。
日本酒全般について学ぶ講義を新たに開設したところ、受講したい学生が殺到して、予定数を大幅に上回る申し込みがあったという記事でした。
また、別の日の新聞で、「今の若者は、ただ安いものを買うのではなく、キチンと商品の背景などのストーリーを知り、自分で価値があると感じたものを買う傾向にある」という記事も目にしました。
この2つの記事から、ものすごく勇気をもらったというか、「群馬の地酒」もまだまだチャンスがあるな、と思えることができました。
若者への普及啓発のために、「地酒」を「地域の伝統産業」という位置づけで捉えて、「学び」を通した出合い、きっかけによって、「群馬の地酒」を知って、飲んで、ハマってくれる若い方が少しでも生まれると良いなと思いつきました。
そして、県庁職員としての最後の担当である、創業支援の業務のひとつに「若者への機運醸成」という事業がありました。
なかなか新たに創業、起業しようという人が出てこない世の中。
もちろん、誰もが起業した方が良いとは言わないけれど、そして、今すぐ創業しろとは言わないけれど、起業家の講演を聴いたことがあるという経験によって、後になって、その中の何名かでも、創業する人が現れたり、会社の中でも新たな市場や事業を生み出す人材が生まれれば、という考えから、高校や大学の授業、講義の中に、起業家講演会を組み込んでもらおうという事業です。
県から、高校や大学にアプローチして受け入れ先を見つけ、御希望に応じて、起業家に依頼し、講演していただくものです。
県の創業支援の事業を受け入れていただいた中のお一人が、高崎商科大学の田中敬幸准教授でした。
県庁を辞めた後、アプローチして訪問させていただき、勝手に思いついたアイデアをもとに、話を聞いていただきました。
田中先生のゼミでは、夏季ゼミとして、ファミリーレストランの商品企画を行うという取組を行っているとのことでした。
来客が増えるような仕組みや新メニューを学生が考えて発表し、ファミレスの担当者が評価し、採用するか判断するといったような取組だったと思います。
より地域に根付いた企業や産業として「群馬の地酒」を取り扱ってもらえないだろうか。
学生にとっても、地域の伝統や文化に触れられる機会にもなるし、企業経営者の方にも出会う機会にもなるのではないかと、企画を話させていただきました。
群馬イノベージョンアワード(GIA)、スクール(GIS)ではないけれど、「群馬の地酒」の消費増につながるようなビジネスプランを、各グループで考え、話し合ってもらい、プランを発表してもらって、蔵元に評価してもらうというアイデアです。
グループごとに担当する酒蔵を割り当てて、酒蔵訪問などのフィールドワークも行ってもらうことで、企業経営者である蔵元にも触れることで、人と人のつながりが生まれ、魅力が伝わりやすくなるのではないかと。
参加いただく酒蔵は、私が何とかしますと。
田中先生は、非常に良い方で、前向きに捉えて、検討を進めていただけることになりました。
田中ゼミだけの取組ではなく、もう少し大きな取組として大学で取り組めないか、前田拓生教授にも話をしてみるとおっしゃっていただきました。
本当に、ありがたいことです。
最後、帰り際に、控えめに一言いただきました。
「名刺を作っていただけませんか?」と。
その時はまだ名刺を作っていなくて、会う前に、手書きで書いていました。
失礼な話です。今思えば、恥ずかしいです。
この手書きの名刺だと、学内に「こういう人がいて」と持って行きづらいとのことでした。
そうですよね。
田中先生、その節は申し訳ありませんでした…。
優しく御指導いただき、ありがとうございました。
その後、百円ショップに立ち寄り、手作りの名刺を作りました。
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